2017年大晦日。大晦日の夜は孤独と静けさを楽しみながらビートルズ。
様々な思いが去来。ビートルズのファンになった中1の大晦日。自室でひとりビートルズの自伝を読みふけった日。家族の視聴する紅白は聞こえない。ビートルズと私だけの世界。
ビートルズと大晦日は親和性がある。以前ビートルズの特集が放送された大晦日はいつだっただろうか?
ビートルズは定期的に人生に現れる。カモられてる気がするが仕方ない。ビートルズと歩んだ人生はシアワセだったに違いないのだから。
リアルタイムに見るコトができた人にとってはなおさらだろう。
概要
ロン・ハワード監督作品。秘蔵映像とインタビューで綴るドキュメンタリー。副題が『THE TOURING YEARS』。世界ツアーを実施していた期間の記録映画。当時の異常とも言える熱狂を表現。
当時のビートルズのインタビューに最近の回想インタビューを交える。日本公演の模様も紹介。
様々なセレブが出演。ビートルズに熱狂した日々を当時の興奮そのままに熱弁。雲の上の存在であるセレブと同じ時代、同じ思いで生き抜いたコトに思いを馳せてしまう。
子供の頃大切に秘密基地に隠してきた宝物をこっそりと見せてくれたようないたずらっぽい顔をしているセレブ達。
厚かましい話だが私も宝物の見せっこに参加したいという欲望にかられる。
タイトル
『EIGHT DAYS A WEEK』と言うのはビートルズの曲。悩ましいコトに当時どのアルバムにも収録されてなかった曲である。
我が家の記念すべき初レコードはビートルズ。子供心にもサイケデリックなジャケットが印象的な『オールディーズ』。ベスト盤。未だcd化されず。残念。
我が家にはビートルズのレコードが多数あった。幼少期メモとお金を渡され『ヘイ・ジュード』を買いにいかされたコトもある。
当時のラジオdjのアドバイスに従って『リボルバー』、『ホワイトアルバム』、シングル4枚程を購入。ついにめでたくコンプリート。
シングルの1枚に入ってたのが『EIGHT DAYS A WEEK』。『シー・ラブズ・ユー』、『抱きしめたい』の流れをくむポップな曲調。たちまちトリコ。今まで聞けなかったコトに歯ぎしりする程悔しかったコトを憶えてる。
新しいビートルズの映画のタイトルを聞いた時、運命を感じた。ロン・ハワード監督は私と同じキモチなのだと。
ビートルズの映画
ビートルズのファンになる1年ほど前。初めてアイドル歌手のファンに。毎日歌謡番組見出すわ、平凡や明星見出すわで大わらわ。
一応受験を控えてたコトもあり親が烈火の如く激怒。
「アイドルなんか1年で消えるんだぞッ。」
そんなコト言われてもカンケーない。既に結婚を考えてた私。未来の旦那様はアイドルじゃなくてもいいやと思っただけだ。「パパは昔アイドルだったのよ。」と子供にレコードを見せるコトも予定に入れた。
あれから何十年も経った今。元アイドルは元気に活躍し続けるレジェンド。1年ももたず消えたのはアイドルではなく私のキモチだった。
それはともかくいつの時代も大人は若者のキモチを理解しない。
世界がビートルズ旋風に巻き込まれ狂乱のるつぼと化す1964年。リチャード・レスター監督は低予算でビートルズの映画を作製するよう要請される。ビートルズ最初の映画『ア・ハード・デイズ・ナイト』。
「夏の終わりにはブームは去るから。」
ビートルズのコンサートに行くコトを禁じ、ビートルズを聞くヤツは不良だと断じた大人たち。ブームが去ると言うよりは去って欲しいという祈りだろう。お生憎さま。
コンサートどころか映画館で絶叫しスクリーンを引き裂くビートルマニア。ビートルズ旋風はまだ始まったばかり。単なる序章にすぎない。
邦題は『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ! 』。全く。日本はなんてタイトル付けんだよって思っていたら・・・。
各国の映画ポスターも併せて紹介。なんと!「YEAH!YEAH!YEAH!」というタイトルが付けられてる国が他にもあるではないか?日本が付けたんじゃなかったのか?どうもハッキリしないようだ。
ビートルズの映画は全部で5本。他は『ヘルプ』、『イエローサブマリン』、『マジカル・ミステリー・ツアー』、『レット・イット・ビー』。
4人のビートル
多感な十代に出会った4人。志を同じくずっといつでも一緒。ひとりが興味を持てば4人全員参加。腹心の友のアン(赤毛のアン)とダイアナだってこうは行かない。
ジョージがインド音楽に傾倒すれば全員おつきあい。4人の親密さのヒミツをポールが明かしてくれる。
反体制の象徴のように評されるロック。親世代は眉をひそめるがビートルズは愛と平和を唄う。演奏力のスキルアップを願い観客が演奏を聞いてくれないコトを悩む。
音楽性は言うまでもないが4人の人となりを伝えるコトでぐっと親近感が増す。知的で優しく家族のようにお互いを守ろうとする。我々と同じような喜びや悩みを持つ若者が世界を変えたのだ。
ビートルズの初期から忠実に進んでゆく。世界は熱狂の渦に巻き込まれ中心にいた4人は翻弄されるコトなく真摯に向き合い続ける。そしてとうとう・・・。
ツアーの終了。金切り声の終了。熱狂につぐ熱狂の終了。ひとつの時代が終わり新しい時代が始まる。
ロン・ハワード監督はツアーを辞めたビートルズも描くだろうか?
ちなみに。中学生の頃。ポールとハンサムなジョージが好きだった。だが当時ラジオdjなどプロの大人たちはポールをけなしまくり。ショックだった。
みんなジョンが大好き。そして解散後のジョージも大好き。リンゴも大好き。そしてポールだけ普通だそうだ。
ビートルズの有名な曲はポールの曲が多い。解散後もウイングスは活躍してたハズ。我が家にあったソロアルバムはポールの『レッド・ローズ・スピードウェイ』だけ。そして私が『バンド・オン・ザ・ラン』を買い足した。
時は過ぎ行き、トム・クルーズの映画『バニラ・スカイ』。登場人物がビートルズを語る。
「昔ジョンが好きだったが、年を取ってポールの方が好きになった。」
あまりに深いお言葉。若くてとんがってた頃は芸術家肌のジョンの方が好きだというコト。やっと理解できた日。
総評
「誰もが知ってるバンドの知られざるストーリー」。このキャッチフレーズはホンモノだった。ビートルズをよく知る世代にとっても間違いを正す映画となりそうだ。
現在フツーに行われてる様々なコトを始めたとされるビートルズ。PV、コンセプトアルバム、スタジアムコンサートなどなど。
初のスタジアムコンサートはシェイ・スタジアムだと思ってたら違った~。収容人数の高いスタジアムと言うだけ。以前からスタジアムコンサートはバンバンやってたみたい。
圧巻は1964年リヴァプールのアンフィールドスタジアム。満員電車のようにギューギュー詰めで一斉にビートルズの歌を歌う男性客は圧巻だ。手を挙げなくてもウエーブが起こってる。
コンセプトアルバムも然り。『サージェント・ペパーズ』が初のコンセプトアルバムと言われている。だが昔から違和感があった。
初めて聞いたアルバムが『ラバー・ソウル』というコトもあるが『ラバー・ソウル』にもすごくストーリー性を感じていたのだ。
作家のインタビューで長年ノドに突き刺さってた小さな小骨がストンと落ちた。
ロン・ハワード監督。『アメリカン・グラフィティ』に出演。監督作品は真面目なモノが多くアカデミー賞受賞。
今作はオーソドックスな手法のドキュメンタリー。コメディ監督と誤解。もっとハジけたモノを期待。ブランニューなモノを次々と世に放ったビートルズ。もっと非難轟々沸き起こるぐらい斬新なモノを見たかった気がする。
『マジカル・ミステリー・ツアー』のように時が追いつき再評価されるような。
初めてビートルズを知った人、昔からビートルズを知ってた人。色んな見方ができる映画。ただひとつハッキリ伝わってくるコト。
ビートルズ愛に満ち溢れている。
コメディアンがビートルズのユーモアを褒めるくだり。昔からビートルズのジョークは評価されてきたが本当にそうかな?私にはギモン。
ただみんながビートルズの言うコトを嬉しがって聞いている。それだけ世界がビートルズに夢中。そんなビートルズ愛を見た人全てが共有できる。ビートルマニアの世界へようこそだ。
最後に。インタビューアーの意地悪な質問。「ブームが去ったら?」
ジョンの答。「大笑いするさ。」
大笑いするコトのないままジョンの人生は終わる。天国でも永遠にジョンの大笑いを聞くコトはできないだろう。
4 EVER BEATLES。当時のビートルマニアが掲げた言葉だ。ビートルズよ永遠に。