アニメ映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の感想

4月 1, 2019

タイトルのイミがわからず、すっごく気になってた~。やっと見られてスッキリ。

2017年公開のアニメ映画。

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基本情報

  • 原作 岩井俊二
  • 脚本 大根仁
  • 総監督 新房昭之
  • 監督 武内宣之
  • キャラクターデザイン 渡辺明夫

原作は1993年放送、オムニバス形式のテレビドラマ「If もしも」。当時見てなかったが有名なドラマ。

原作は映画「Love Letter」で有名な岩井俊二さん。残念ながら私が見たのは「スワロウテイル」と「リップヴァンウィンクルの花嫁」だけ。

と思ったらおっと。テレビドラマ「なぞの転校生」もだったのか。原作は眉村卓さん。大昔のSFジュブナイルだが、近代的で斬新なSFになっていた~。

「スワロウテイル」はサスガに昔すぎて全く憶えてない。すごく面白くて感動したハズ。前半と後半のどちらかがより面白かったのだが・・・。知人と全く逆だったので驚いたコトだけ憶えている。

「リップヴァンウィンクルの花嫁」を見たのは最近。主人公は流されやすい性格。まるで風にそよぐ野の花だ。視聴者は終盤、戦慄の事実を知らされる。だが主人公は全く気づかず、視聴者を置いてきぼりにしてラストを迎える。

フシギなファンタジーのような現実感のない世界観だった。この世界観が岩井俊二さんの特徴かもと思われるが、このアニメ映画のファンタジーは新房昭之監督によるトコロが大きい。

私の見ただけでも「さよなら絶望先生」、「荒川アンダーザブリッジ」、「それでも町は廻っている」、「物語」シリーズと多数。代表作として「魔法少女まどか☆マギカ」は外せない作品だろう。

パステルカラーや水玉模様、シンボリックで斬新な映像は視聴者に瞬きするヒマも与えない。ストーリーだけでなく映像の隅々まで確認しなくてはイケナイので忙しい。

キャラクターデザインは「物語」シリーズを手がけたデザイナー。

「戦場ヶ原さん、コンニチハ。」と思ってしまったが・・・コアなファンの方ごめんなさい。ちなみに戦場ヶ原さんと主人公の漫才が大好きです。

登場人物

  • 島田典道(菅田将暉)・・・中学一年生。
  • 及川なずな(広瀬すず)・・中学一年生。クラスのマドンナ的存在。
  • 安曇祐介(宮野真守)・・・中学一年生。典道の親友。
  • なずなの母(松たか子)
  • なずなの母の再婚相手(三木眞一郎)
  • 三浦先生(花澤香菜)・・・典道らのクラス担任。

あらすじ(ネタバレありにつき注意)

プロローグ

夏休みの登校日。登校途中の朝。家庭の事情に悩める中学一年生、及川なずなは寄り道をする。海を見ていたなずながフシギな玉を見つけたコトから物語が始まる。

島田典道と安曇祐介はプール当番。プールサイドに水着姿のなずなを見つける。2人とも秘かになずなに好意を寄せているのだ。

3人はそれぞれの思いを賭けて競泳で勝負。典道は「ワンピース」の最新刊、祐介はなずなに告る、なずなは「何でも言うコトを聞いて」。

1位はなずな。2位の祐介を今晩開催される花火大会に誘う。

着替えを終えた典道と祐介はクラスメートと「花火を横から見ると平べったく見えるのか、丸く見えるのか」という議論になる。調査に行こーぜ。みんなで灯台から花火を見るコトを約束。

祐介はなずなへの想いとはウラハラに男友達と行く方を選択してしまう。典道になずなへの言伝てを頼む。

実はなずなの母は夏休み中に3度めの再婚をする。転校を余儀なくされるなずな。母にも再婚相手にも複雑な思いを抱くなずなは「家出をするのだ。」と典道に告げる。

さらに「賭けで勝った方を誘おうと決めていた。島田くんが勝つと思っていた。」と告白。そこへなずなの母が現れ、無理矢理連れ戻されてしまう。

追いかけようとするもナゾの光に包まれ見えない。未来は未定というコトか?あるいはIf世界への入り口?いざなっているのか?

何もできなかった。無力な中学一年生。典道はなずなとの約束をすっぽかした祐介に怒りをぶつける。おや?

なずなの荷物からフシギな玉を拾う。「もしも自分が勝負に勝っていたら・・・こんなコトにはならなかったハズ。」後悔とも怒りともつかず玉を投げる。

もしもワールド発動!!

第1回めのIf

時間が戻り勝負に勝つ。メデタクなずなに誘われる。

駅のプラットフォーム。家出をするのだと思ってた典道。なずなからまさかの駆け落ち宣言。なずなの大人びた魅力に翻弄されながら電車を待つが・・・間一髪。またもやなずなの母に見つかる。連れ戻される。

くっそ~。また助けられなかった~。

友達に会ってしまう。花火を見るため、ともに灯台へ。

・・・ナンダ?花火が平べったいぞ?

この世界が間違ってるコトに気づく典道。「もしもオレとなずなが電車に乗ったら・・・。」思いをのせて再度、玉を投げる。

時間が戻る。基本この繰り返し。典道はなずなを救えるのか?なずなを救うべくIfを繰り返す。

第2回めのIf

1回めのIfではなずなの母の再婚相手に殴られ、なずなを奪われてしまう。2回めはアクション映画のように身をかわし、なずなとともに電車に乗り込む。

電車の中は二人っきり。電車は真っ暗な長いトンネルに吸い込まれてゆく。

「アイドルになろうかな。」なずなは松田聖子さんの「瑠璃色の地球」を歌い出す。暗闇の中に浮かび上がる車内はさながらスポットライトの当たるステージ。

美しい叙情的なメロディ。透明感のあるピュアな歌声。思春期の少女の不安定な心情を震えるように謳い上げるなずな。中盤のクライマックスシーン。

真っ暗な窓ガラスからフシギな玉の世界に迷い込んでゆく。鏡の国のアリス?シンデレラをモチーフにしたガラスの世界。アイドルを目指すなずなをプリンセスになぞらえた典道からのプレゼント?

どうせ離れ離れになってしまう。「今日だけは一緒にいたい」というのが二人の願い。

今回の花火は花が咲き、ほころびるような感じ。典道はこの世界も正しい世界ではないと気づく。先生の胸までもが小さくなってる(実際はトンデモなく巨乳)。担任を性的に見ていたクラスメートへの典道の抗議?

二人は美しい花火の下でラ・ラ・ラ・フォークダンス~。

祐介やなずなの母に追いかけられる二人。「もしも祐介やなずなの母に見つからなかったら二人っきりでいられたのかな?」

再度フシギな玉を投げる決意をする典道だが、祐介に灯台から突き落とされてしまう。フシギな玉は手から滑り落ち海の中へ落ちてしまう。

If発動。「瑠璃色の地球」に戻る。

第3回めのIf

なずなの母に見つからないように、電車は分岐点で線路が切り替わる。典道がやり直すというよりは典道の願いが勝手に叶うようだ。

電車は海の上をぐるっと走り、もしも駅(出発点)に戻ってくる。

なずなはフシギな玉を拾った海岸から海に入り、典道をも誘う。躊躇する典道。

酔っぱらいの花火師のオッチャンが海岸でフシギな玉を拾う。尺玉と間違えたオッチャンは玉を打ち上げてしまう(玉、大っきくなってるし。)。

そのせいで、この世界がラストIfとなる。

フシギな玉は夜空に上がりキラキラ輝くガラスのカケラとなって砕け散る。

カケラのひとつひとつに無数のIfが刻み込まれている。「なずなと二人で夏祭りに行ったかも」というIfを見た祐介はなずなへの愛を叫ぶ。カケラには東京へ行ったかもしれないなずなと典道のたくさんのIfもあった。

東京でなずなとキスをするIfのカケラを掴み取ると典道は海に飛び込み、なずなにキスをする。

再会を夢見るコトバをくちにするなずな。典道は困った顔をするのだった。

エピローグ

夏が終わり2学期。担任が出欠を取るが典道の返事はない。

感想(ネタバレありにつき注意)

フシギな玉はなずなの父が海に飛び込み自殺(?)をした時に握りしめていたモノだった。娘を思う父の思いがフシギなチカラを宿したのか?娘のピンチに玉が娘のもとへと届けられたのは偶然ではない気がする。

父の思いのこもった玉で典道はなずなの願いを叶えファンタジーの世界を見せ続ける。平べったい花火を見て、現実の世界とはチガウと気づいた典道は、絵本のような世界から始まり、さらに幻想的な世界を紡いでゆく。

田舎の叙情的な風景と甘酸っぱい思春期。情景は美しい。だけどなぁ。

ナゼ思春期のキャラクターっていつも、「ハズい、カッコ悪い。」と素直になれない男子とアバズレ系ませた女子なんだろう?

1番最初、なずなは祐介を誘い「好きだから。」とまで告白する。そのせいかイマイチなずなのココロが信用できない。伝わってくるのは典道の想いだけ。

なずなは典道を手玉に取ってるだけにも見えてしまう。コッチがダメならアッチ。次々と男を変えそう。母親と重なる部分がある。

電車の中で「最初は勝負に勝った祐介を誘った。」と知らされるなずなは、「安曇くんとなんかイヤ。ありえない。」とこともなげに言う。このセリフはなずなの典道への愛ではなく典道の願望だろう。

どちらにしても信用できない。

ソレだけじゃない。祐介もなぁ。最初、なずなとの約束をすっぽかすクセにIfの世界では典道への嫉妬と怒りを隠そうともしない。思春期のせいなのか?はたまた現実世界じゃないからか?

祐介は普段からなずなへの想いをくちにしていた。ソレを知っていた典道は、自責の念にかられたのだろう。祐介への後ろめたさから、祐介を「嫉妬にかられ執拗に追いかけてくるキャラクター」へと変貌させたのではないか?祐介のキャラクター変貌は典道の祐介へのキョーフだと思う。

そしてなずなの両親。なずなのくちからは淡々と説明していたが・・・ヒステリーと暴力。

ヒステリックな母親の連れ戻し方に最初典道はボーゼン。為す術もない。次は再婚相手に向かってゆくが返り討ち。

なずなの母のヒステリックな横暴と再婚相手の暴力は昭和ちっくでどうかと思う。

最初の時、何もできなかった典道は、自分の無力を思い知る。大人からの理不尽な圧力。ヒステリーと暴力は、典道が感じた「大人の不当な圧力」によって作り上げたキャラではないか?なずなや再婚相手をラスボスのように感じたのだろう(なずなの母に関しては現実世界でもヒステリックではあったが)。

2度めのIf世界ではラスボスの暴力からカッコよくなずなを救うのだった。ヒーロー参上!!パチパチパチ~。

現実とも空想ともつかない世界だけに何が本当なのかはわかりづらい。個々が好きに感じればいいというコトかな?

よっしゃ~。そいじゃ私の推測はこうだぁ~。

なずなはビッチ決定~(自分でも認めてるし)!!典道と祐介は仲良し。典道が間男みたいに勝手に怖がってるだけ。親友を突き落とすワケないじゃん。なずなの母もビッチ決定~。

青春映画。しかも中学一年生。オバサンにはハードルが高すぎたか?

最初の30分は迷っていたが、途中で挫折しなくてよかった~。次第にどんどん加速する幻想的な世界に目を奪われ引き込まれていった。とても面白く楽しめた映画だった。

面白いのは単に若者向けの映画ではないと感じられるトコロ。

Ifという電飾の文字まで登場するレトロ感から、様々な場面でレトロが散りばめられている。オバサン世代のココロをガッチリ掴むヤツだ。

わかりやすいのは「瑠璃色の地球」。1986年発表の「SUPREME」に収録。最後の花火、でっかいフシギな玉も「瑠璃色の地球」のイメージとリンク。電車の中のガラスの世界も1983年発表の「ガラスの林檎」を彷彿とさせる。

たとえ松田聖子さんを好きではなくても、松田聖子さんの楽曲の素晴らしさには逆らえない。それほどスゴいアーティストの面々が作曲を担当していたのだ。当時のアイドルとしては異例中の異例。他に類は見ない。

電車で街から逃げてゆくというモチーフ。オバサン世代なら必ず思い浮かべてしまう映画「小さな恋のメロディ」。二人はトロッコで逃げていきましたけどね。

マーク・レスターとトレーシー・ハイド主演。そ~言えばコレもハイドはませた女の子、レスターはハイドの魅力に振り回されてましたね、確か。

海の上を走る幻想的な電車は銀河鉄道。

さて、繰り返すIfの果てに思春期を卒業する典道。少し大人になった典道の選択は?

まさか二人で東京で暮らしているとは思えないが、約束通りなずなに会いに行ったのは間違いないだろう。

ただ・・・担任が出欠を取るシーンの前に、二人の男子中学生が走って登校する様子が映し出される。ひとりはクラスメートの稔(花火を見に行く仲間)のようだが、もうひとりの顔は見えない。

思わせぶりな映像だなぁ。まさか典道?ただの遅刻ってオチはないよね?ないと思いたい。

その可能性は何も起こってなかったコトを示唆してるようにも思える。なずなは花火を見るコトなく転校。事実を受け入れられない典道は玉を投げ続け妄想を見続ける。

マッチ売りの少女かよッ。

コレじゃシアワセな夢を見続けるためにマッチをすり続けた少女のようだ。

ないな。いくらなんでもコレはない。「じゃぁ今まで見せられてきたモノは何だったんだ~。」ってコトになってしまう。暴動が起こるぞ~。

典道はフシギな玉のチカラを借りて恋のファンタジーを紡いだのだ。思春期だけが起こせるキセキの魔法なのだ~。

水をぶっかけるようなコトを言って申し訳ないが、二人の恋に共感できたワケではない。オバサンが中学生の恋に共感できたら、ソッチの方がコワイわ~。ただ美しい映像世界には魅了されてしまった。

エンディングテーマの「打上花火」。DAOKO×米津玄師。打ち上げ花火がテーマなんだからアタリマエなんだが・・・どーしても花火って「ひと夏の恋」感がしてしまう。

将来の二人がどうなるかは不明。想像する必要もない。コレは思春期の恋の抒情詩。この時だけの瞬間を思い描いたモノなのだから。二人もこの夏の花火を永遠に忘れないだろう。

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